聖なる蛇と自我の目覚め 〜ファラオの創造性の秘密

今回は、古代エジプトにおいて
蛇として表された、二つの象徴について、
ご紹介していきます。

蛇は、古代エジプトより
「自我(個体意識)の目覚め」
深く結びついており、

オリエント占星術の世界観と
深く共鳴しているものがあるので、
合わせてお伝えしていきたいと思います☆

蛇は、古来より、脱皮して成長する生き物であることから「進化」「強い生命力」と結びつけられていました。

聖なる蛇と、闇(混沌)の蛇

はじめに、

ホルスの左目(月の目)に宿る
「ウジャト」といった
あらゆる蛇神の象徴として描かれている

聖なる蛇「ウラエウス」について。

ウラエウスとは、

古代エジプトの神話では、
太陽のエネルギーから
発生した神とされており

古代名「イアールト」は、
怒りに燃えて「立ち上がるもの」

「神の怒り」と「正義(慈悲)」
を象徴しており

神聖な生命力や智慧を授ける
(体に入れる)存在

王や神官が、宇宙の秩序(マアト)を
正しく執行するための力を注ぎ込む
パイプ役とされていました。

しばしば、王族達の頭に飾られることで
神性や王権を表し
絶大なパワー、叡智をもつことを
意味していました。

ツタンカーメンの棺(金の箱)に描かれた、宇宙の秘密。左上で注入しているのがウラエウス。

一方で、もう一つの蛇は

太陽の船(太陽神ラー)の運行を妨げる
最大の敵として登場する、

「混沌」「無意識の闇」「邪悪」の象徴
大蛇アペプ(アポピス)。

世界を混沌に引き戻そうと、
あらゆる悪を試みる存在、といわれています。


とぐろを巻いていたり、縛り付けられた姿で描かれることが多い

古代エジプトの宇宙観では、
混沌や無意識の闇も、
進化のための試練を与える存在、
必要悪とされていたのですが

アペプは、特に
自我(個体意識)が、太陽の道を
進んでいく際に立ちはだかる
「恐怖(恐れ・不安)」や「無意識の闇」

の象徴とされており

主に「夜の間に襲いかかる」ことから
「月の意識(眠り・無意識)」の象徴
隠喩であると感じました。

太陽の前を横切る月が覆い隠す「日食」は、
アペプが太陽の舟を飲み込んでしまうことで
起こるとされていました。

太陽の船に襲いかかる、闇の蛇

太陽の船に襲いかかるアペプは

古代エジプト神話の中で、
太陽神ラーにとっての宿敵であり、
最大の危機として描かれます。

そうしたタイミングに、唯一、
アペプに立ち向かい
太陽を救ったのは、

セト(=火星)…!

セトは、以前のコラムの中で
太陽の守護者
(太陽神ラーの船を悪蛇から守護する役割)

だったと書きましたが

セトが担っていた役割は、

太陽(魂)の進む道における、強さであり、
生命力、意思(守護)
の象徴

太陽神の元に遣わされたセト(火星)は
見事に、混沌(アペプ)を打ち破り、
大活躍していたのでした。

セトは、敵を焼き尽くす炎の力を持ったウラエウスだった、との話もあり
神の怒り(=ウラエウス)と一体化したセト
みたいなイメージと思っています。


ファラオの創造性の秘密

そうして、混沌を打ち破り、立ち上がった
「強い自我(神聖な自己)」の象徴が

冒頭にご紹介した、
聖蛇ウラエウスであり

ホルスの目に象徴されるような
混沌を打ち破り、
「目覚めた自我(太陽意識)」

ファラオの王権や
強さのシンボルとなったのでした。

ファラオ(ツタンカーメン王)の額に付けられた
ウラエウスの装飾。
古代エジプトにおいて、ファラオとは、
神々と地上をつなぐ最高神官(神の化身)でした。

古代エジプトの秘儀において

ファラオの絶大な叡智とパワー
地上における創造性の秘密は

まさに、この
「自我の目覚め」にありました。

これは、
自我(個体意識)が目覚め、
魂(太陽意識・源)と融合すること

=ホルスとなること、によって

無限の叡智、パワーと繋がることができる
という、根源的な宇宙観に基づくもので

太陽(魂)の意思の元に
火星(セト)を使っていくこと

混沌や無意識の闇を打ち破ること
=「月を超えていく」
といった

オリエント占星術の世界観の
ベースとなっています。

こういった、
古代エジプトの叡智や秘儀は

当時は、王族や神官という
限られた人々の中でのみ引き継がれ、
実践されていたものでしたが

今という時代、特に日本においては
一人一人が、自覚的に
魂(源)との繋がりを想い出すことで
創造性を発揮できる時代になりました。

今回の神話で登場したセトは、
太陽の意思の元に湧き上がる、
「聖なる怒り」として表されているように

太陽(魂)の道を突き進む強さや、
創造性を取り戻すこと

セトの神話や、二つの象徴的な蛇には

今の時代を生きる私達にとって
とても大切なメッセージが
込められているように感じています。

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