セト神と火星の役割 〜 古代エジプトにおける宇宙観・真なる自由の体現
以前のコラムの中で、
「悪役」として描かれているセトも、
宇宙と、内なるバランスにおいて
必要な要素であり
進化における試練をもたらす存在
として捉えられていた、
といったことを書きましたが
今回は、セト神の役割と、火星との繋がり、古代エジプトにおける宇宙観について、詳しくお伝えしていきたいと思います。

セト神は、
砂漠、混沌、戦争の神といわれており、
ホルスの神話においては
「悪(敵)役」として描かれていました。
簡単に内容をお伝えすると、
神話の中で、セトは、(取り憑かれた)嫉妬によって、兄であったオシリスを2度にわたって殺害してしまうのですが、イシスとオシリスの息子であるホルスは、王位を巡った争いの末、オシリスを捕えて、支配(コントロール)するようになります。

ホルスが、セト(カバの姿)を捕え、支配(コントロール)しているシーンを描いたエドフ神殿にあるレリーフ。
実際にこの世界に(神々の)肉体があったわけではなく、エネルギー上の戦争みたいなイメージです。
この神話、レリーフにおける
重要なメッセージは、
殺さずに生かしている(存在させている)
というところ。
ホルスがセトを殺さずに残したのは、
セトにも役割がある
すべてはバランスである、という
古代エジプトの宇宙観であり、
ホルスの役割でもある
地球のバランス(調和)は
イエスが伝えた「汝の敵を愛せよ」
にも、繋がる教えなのでした。
セトの役割
上記の神話の中では、
悪役として描かれていたセトですが
古代エジプトでは、
太陽の守護者
(太陽神ラーの船を悪蛇から守護する役割)
砂漠の神、軍神、最強の戦士
としても敬われていました。

ラムセス2世は、軍事的な力やカリスマ性を維持するために、あえてセト神のパワーを取り入れたことで有名。セト神とホルス神が両側からファラオを支える姿、セトとホルスが和解しており、王の統治下でエジプトが統一されていることが描かれている。
セトが担っていた役割は、
太陽(魂)の進む道における、強さであり、
生命力、意思(守護)の象徴でした。
先日のエジプトで、神官ガイドの方が
特に日本人の女性には「セトが足りない」と、仰っていたのが印象的だったのですが
セトが足りなくなり、バランスを崩すと、
意志を表現すること、自分を貫くことができず、生命力は、弱くなります。

セトは、過酷な砂漠(時に蛇とさそりも襲ってくる環境)を旅するキャラバンの守り神とされていました。
サビアンシンボルにおいても、砂漠は、試練に耐え抜く強さを表しています。
もう一つ、
セトは、混沌(カオス)の神
とされているのですが
宇宙の秩序(マアト)の対極であり
世界に変化や多様性をもたらすために
不可欠な混沌を体現している存在
としてみなされていました。
混沌は、宇宙の秩序(マアト・バランス)が
機能するために欠かせないプロセスであり
セトは、時に、試練となって表れ
「進化」を促す存在でもあります。
この世界における「進化」や、
「強さ」のバランスを維持する上で、
セトは重要な役割を担っているのでした。
ダジャレのようですが、
セトは「set」と書くので
陰陽一対(セット)のセトと思っています。笑
内なるセト、火星との繋がり
古代エジプトの天文学において、
火星は「赤きホルス(Horus the Red)」
「セトの星」と呼ばれていました。

「赤きホルス」は、ホルスの表す「地球のバランス(調和)」において、セトの側面も内包されている、ということの隠喩だと受け取っています。
占星術において表れている
火星の要素・エネルギーは
活力、強さ、防御(守護)、
実行(体現)力といった
セトの要素を象徴しており
個人における、バイタリティ
時に、怒りを伴うような行動力や
強いエネルギーとして表れます。
まさに、セトは「太陽の守護者」
といわれているように、
セトの表す要素(=火星)は
個々の魂が、地上を生きる上で
魂の「自由」や「多様性」を体現するために
必要な要素です。
オリエント占星術においても
火星を、どのような方向性に使っていくのか
太陽(魂)の意思の基、
自分という役割、自由の体現へと
活かしていくことが大切
ということを
お伝えしているのですが
火星は、セトと同様に
凶星として扱われてきた歴史があり
時に、悪(闇)役として
他者や、現実の中に表れることもあります。
それらを、内なるバランスとして
取り戻していくこと
自身の要素として、
火星・セトを
自覚的に扱っていくことで
魂の道を切り拓く強さ
真(神)なる自由の体現を
生きることができます。
